・Ver. 3.5.1導入と初期テスト
先日,Phoenicsの最新版,Version3.5.1がCHAM Japanから送られてきた.といってもSingle
node版.Parallel版のリリースは通常半年は遅れるので,無理を言ってSingle
node版だけ先に送ってもらった.CHAMさんどうもありがとう.
さあ,ベンチマークだ!!
使ったのは,以下のスペックを持つノード
Pentium4 2.40GHz DualChannel DDR400 256MB
・パフォーマンス計測
q1ファイルの互換性は,この計算においては全く問題なかった.完全互換と言っても良いだろう.唯一違うのは,PASOL=offが,3.5.0では空行なのに対して,3.5.1では明示的指定となっている点.全く同じ条件で計算させたいときは,この点に注意しよう.
実行時間 | 相対性能 | PASOL効果 | |||||
使用node | Ver. 3.5.0 [s] |
Ver. 3.5.1 [s] |
Ver. 3.5.1 PASOL [s] |
Ver. 3.5.0 | Ver. 3.5.1 | Ver. 3.5.1 PASOL |
PASOL off/on 相対性能 |
Node1 | 2553 | 2596 | 3257 | 1.00 | 0.95 | 0.78 | 1.25 |
旧バージョンとの比較では,Ver. 3.5.1の方がわずかに計算性能が悪い.PASOL=onによるパフォーマンス低下は,CHAM社のアナウンス通りだ.こいつは使える!
・計算結果の比較
ベンチマークは計算を500ループで打ち切っているが,ループ回数を2,500に変更,収束するまで計算させてから比較を行った.
計算収束の状況
Ver. 3.5.0
Ver. 3.5.1 PASOL=off
Ver. 3.5.1 PASOL=on
ダクト中央の主な変数値
Ver. 3.5.0
Ver. 3.5.1 PASOL=off
Ver. 3.5.1 PASOL=on
PASOL=onだけ,明らかに違って見える.
流速分布の比較
Ver. 3.5.0
Ver. 3.5.1 PASOL=off
Ver. 3.5.1 PASOL=on
PASOL=onとoffで流速分布の違いは一目瞭然.特に,X-wing表面のboundary layerに注目!
流速(W)の比較(ダクト中央) ----Ver. 3.5.0 ----Ver. 3.5.1 PASOL=off ----Ver. 3.5.1 PASOL=on
3.5.0と3.5.1の違いは全くない.しかし,PASOL=onの流速は遅い.特に,下流で流速が一定なのは,boundary
layerの成長とダクト広がりが相殺しているから..こちらの方が本物っぽい.
静圧(P1)の比較(ダクト中央) ----Ver. 3.5.0 ----Ver. 3.5.1 PASOL=off ----Ver. 3.5.1 PASOL=on
PASOL=onの圧力だけ,随分高い.
今回の評価での一番の驚きは,「今までの計算結果が正しくない」らしいということが顕わになったと言うこと.実は,本物の計算でも,圧力が実験に比べて低く,流速が高いことが問題となっていて,いろいろと試行錯誤をしていたところだ.
表面近傍の情報が,これほど流れ全体に大きな影響を与えるとは・・・
・まとめ