関数電卓マニアの部屋

LIBERTY LB-522-K入手のいきさつ

2015年の4月,「英文漢字混じり」という珍しいメールを受け取った.差出人は台湾在住のH氏.以下,やりとりは英語だが日本語に翻訳して表示.

LIBERTYという台湾のメーカーがあり,LB-522-Kという関数電卓を製造・販売しています.
中身はCASIO fx-350TLのコピーなのですが,演算エンジンは異なるようで,異常に高い精度を
持っています.


tan(355/226)は添付画像のように-7497258.165です.
     ※注:これは,正しい値と最後の2桁めだけが違う

ぜひ貴方にお伝えしたくメールをいたしました.

本家fx-350TLは最初の4桁のみが正しいので,桁違いの高精度ということになるだろう.

H氏はソフトウェアの開発者で,関数電卓はCanon F-502Gが愛機という渋い選択.関数電卓におけるユーザーインターフェースへのこだわりは相当なもので,それ故私のページの趣旨に賛同してくれた.しかし,日本語で書かれたページをどうやって見つけたのだろうか.

その後,何往復かのメールのやり取りで,「LB-522-Kの実機を進呈したい」との申し出があった.お会いしたことも無い,しかも外国在住の方にそのようなものを頂くのは申し訳ないということで丁寧にお断りしたのだが,是非にと送っていただいたのが本ページで紹介している電卓だ.

関数電卓の国際郵便による送付は少々面倒で,電池を外した上で,「電池が入っていないこと」を証明する書類を取得する必要がある.Hさん,ありがとうございます.

梱包をはがすと,ブリスターパックに入った電卓が現れる.国内専用モデルで,マニュアルは繁体中国語オンリーだ.繁体中国語は簡体に比べて日本の漢字に近いので,それなりに意味がわかる.

     
ブリスターパック台紙

実際に使ってみてのレビューは電卓の評価記事に譲ろう.全体としては,かつて愛用していたCASIO fx-350TLのクローンだけあってたいへん使いやすい.ボタンの感触に若干不満があるのはしかたのないところで,このいうカタログには出ないところは日本メーカーに一日の長がある.

それから,H氏とはメールで何度かのやりとりをした.なんとH氏は拙著「関数電卓パーフェクトガイド」を読んでおり,記事の一つについてコメントを寄せてくれた.


先生のご著書の上記ページですが,「標準電卓」でラストアンサーでの割り算を行う方法で,紹介されていない方法があります.それは[X<->Y]をキーを使ってレジスタを入れ替える方法です.

なるほど. Hさん,日本留学の経験があるのでしょうか?? その他にも台湾の関数電卓事情について面白いことを聞いたのでここに記す.台湾では,日本で絶版となったCASIO fx-260Aが「fx-82SOLAR」というモデル名で未だ入手可能とのこと.しかも,ある国家試験で最もよく選ばれるモデルなのだそうだ.レビューでは結構文句をつけたが,「太陽電池オンリー」と言う設計思想と,小さな筐体は実はお気に入りだったりする.

関数電卓マニアは国境を超える,というエピソードでした.