絶版コレクション

CASIO fx-260A

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メーカー CASIO 07/10/14初出
09/07/28修正
10/07/24移動
型式 fx-260A  
実売価格 \1,480  
入力方式 標準電卓  
角度モード [MODE] [4] or [5] or [6]
[F<->E]キー [SHIFT][ENG]
メモリSTO [SHIFT][Min]
メモリRCL [MR]
√キー独立 ×  
x^2キー独立  
1/xキー独立 ×  
BSキー  
新学期とともに,関数電卓を使う授業がまた始まった.今年の学生の中にも,何人か「標準タイプ」電卓を買ってきた人がいる.理由を聞くと「安いから」.最近,私は初めて電卓を買う人には「数式通り」タイプを薦めている.初心者には数式が出た方が取っつきやすいからだ.

しかし,現在でも「標準電卓」を購入する学生がいる以上,各メーカーの現行機種の特徴を知っておいた方が良いと判断して購入.本機は電卓の雄,CASIOがリリースする標準タイプの関数電卓.ライバルはSHARP EL-501ECanon F-502Gと位置づけられる.

設計は相当古い電卓なのだが,プラキー仕様の高級感のあるデザインは現在でも通用する.大きさはEL-501Eと比べても小さく,文字通り「ポケットサイズ」だ.駆動方式は関数電卓には珍しい太陽電池オンリー.以上の特徴から,工具箱に入れておくテスターの様な使い方には好適だろう.しかし,「相棒」としての使い勝手はどうか.

目に付くのがキーアサインの悪さだ.ここはライバルのEL-501Eと比べてみよう.まず[DRG],[F<->E]キーが無い.そして,関数電卓の盲腸とも言うべき巨大な[M+]キーが左下に.関数電卓の仕事は,合計することでなく演算することなのだ.関数電卓の[M+]キーはその出自が普通の電卓である証拠で,我々の耳たぶが動く程度の役割しか果たさない.その証拠にHPの関数電卓を見なさい.Apolloが月に行った当時から[M+]キーなど無いではないか.

更に,[√]キー,[1/x]キーも裏にある.

極めつけは,[Min]機能が裏にあることだ.ラストアンサーを持たない標準電卓は,いま表示されている数値をメモリに格納することが良くある.標準電卓必須の機能である[Min]が裏に回っているこの電卓を,私はお勧めすることは出来ない.

おまけに,ライバル機に比べ500円ほど高い価格も気に入らない.980円出せばEL-501EかF-502Gが手に入るので是非こっちを買って下さい.あるいは,あと牛丼一杯ほども出せばCASIOのNatural Display機fx-373ESが手に入る(実売1,900円程度).こっちが断然お勧めだ.高知県立大学生活協同組合には,申し訳ないが是非関数電卓の使い勝手とは何かを考えて頂きたい.

最後に,使っていて気がついたこの電卓の良い点を列挙しよう.
  1. 時間(角度)計算の入力方式がSHARP方式準拠であること.一方,標準電卓で唯一SHARP EL-501Eが不便な「標準電卓」方式であることは皮肉である.
  2. πが[SHIFT]キー無しで呼び出せること.よく使う[π]が[SHIFT]無しで呼び出せる電卓は,実は少ない.CASIOの「標準電卓」は[π]は[EXP]と同じキーに割り当てられているが,[EXP]を押すべきでないシチュエーションでは[π]として機能する.この素晴らしい工夫,CASIOではfx-991sを最後に消えてしまった.「数式通り」モデルにも適用出来る技術なので復活を望む.
2010年6月,fx-290にその役目を譲り絶版.CASIO唯一の「標準電卓」モデルと言うだけでなく,太陽電池オンリー,コンパクトな筐体といった特徴をもったモデルだけに惜しまれる.