関数電卓マニアの部屋

CASIO fx-JP500

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メーカー CASIO 15/01/04初出
型式 fx-JP500  
実売価格 \3,110 新宿ヨドバシカメラ
入力方式 自然表示  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO [STO][A-F, M, X,Y]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
2014年12月発売の新製品.これまでの製品ラインナップから独立した「fx-JP」の型番を与えられていることからもわかるように,多くの新機軸が取り入れられた新製品だ.

まず,目に付くのは液晶の解像度の高さ.従来比で縦横が2倍の高解像度液晶を搭載する.ユーザーインターフェースは,ほぼ従来の「数学自然表示」モデルを踏襲するが,細かいところが異なる.キー配置を比べると,メモリ操作の[STO]が表になり,[RCL]が裏になった.[hyp]の位置に[x-1]が来たのは右上を空けるため.追い出された[hyp]は左上の[OPTN]キーのメニューで呼び出されるようになった.あと,[logmn]キーが裏に下がり,代わりに[x]キーが表に出る.従来機に比べ使いにくくなったということはないが,使いやすくなったとも言えない.敢えて言うなら,[x]キーをわざわざ表に出した意図が今のところ謎である.今のところ,このキーは[ALPHA] [x]で呼び出す[x]と同じであることがわかっているが,それ以外にこのキーの上手な使い方がわかったらまた報告しよう.
(これだけ色々変えたのなら,[STO][RCL]は独立させて欲しかった)

機能数はとうとう500を越えた.fx-375ESは394だったので,100以上増えたのは何だろうか.これについては,私よりCASIOホームページに尋ねた方がよいだろう.

http://casio.jp/dentaku/products/scientific/

高解像度液晶とメニューの日本語表示に多くのリソースを必要とするため,当然中身は全く別物と推測される.左図の数値積分を実行させてみたところ,fx-915ESが25秒だったのに対して6秒と圧倒的である.

tan(355/226)の計算結果は

fx-375ES   -7497258.44
fx-JP500   -7497258.44

と変化なし.内部精度や関数のアルゴリズムに大きな変化が無いことをうかがわせる.

メモリ呼び出しは従来のCASIO機にくらべかなり便利になった.[SHIFT][RCL]キーを押すと,下のように変数とその内容が一覧表示される.



ここから[A]-[y]キーを押すと,変数名がディスプレイに現れる.手数は同じだが,内容が見えるというのは安心感がある.多くの変数を使う土地家屋調査士試験では重宝な機能だろう.それだけに,[RCL]を表に持ってこなかった決定は惜しまれる.

「解の3桁区切り」が選べるようになったことも特筆すべきだろう.解が6桁を越える大きな数になったとき,CASIOの「数学自然表示」モデルは一目でそれが何桁かわからないという欠点があった.そのため[ENG]キーが用意されているのだが,ワンアクション多いのは否めない.一方,SHARP機は,大きな数を3桁ごとに区切る表示が可能(一方で[ENG]キーが用意されていないのは大きな欠点と私は思うのだが).



本機は,[SHIFT][SETUP]メニューで,解の3桁区切り表示が選べるようになった.地味だが有り難い機能.

それ以外の,通常の関数電卓としての使い勝手は,従来機と全く同じと言って良いだろう.すなわち,本機を選ぶか,fx-375ESを選ぶかは,モデルが新しいという満足感,見やすい表示と上質な外観に1,000円のエクストラの価値を見いだすかどうかだ.