関数電卓マニアの部屋

Canon F-789SG

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メーカー Canon 12/12/17初出
型式 F-789SG  
実売価格 \2,980 新宿ヨドバシカメラ
入力方式 自然表示  
角度モード [SHIFT][SETUP][数値]
[F<->E]キー [ENG]
メモリSTO [SHIFT][STO][A-F, M, X,Y,数字]
メモリRCL [RCL][A-F, M, X,Y,数字](CASIO方式)
√キー独立  
x^2キー独立  
1/xキー独立  
BSキー  
F-788SGの登場から遅れること3ヶ月,Canonの「教科書ビュー」方式関数電卓の上位機種が登場した.型番からも分かるように,本機はF-788SGの兄弟という位置づけだが,中身に共通点はほとんど無い.むしろ,CASIOのfx-993ESのソフトウェアと,CanonのF-718Sのデザインを受け継いでいる,と言った方が正確だろう.

キーアサインはF-718Sによく似ている.機能が増えた分,いくつかの関数が裏に回っているが,主要な関数は表にあるので問題ない.それにしても[RCL]キーのとなりの[Abs]キーは惜しい.使用頻度から言えば,ここは[STO]キーを持ってくるべきだろう.F-788SGがそうなっているだけに残念.

内部のソフトもF-718Sからのアップグレード版で,内部精度18桁を誇る.この点でも,F-788SGとの出自の違いが浮き彫りになる.当然,tan(355/226)には正解を返す.

落ち着いたグレーのデザインとアルミの正面パネルは高級機の雰囲気を良く演出している.これと言って欠点の無い機種だが,ライバルのCASIOがほぼ同時にfx-375ESを出した来た.これと比べると,さすがの本機も霞む.特に,値段が1,000円も高いのは痛い.

一応,援護しておくと,本機は機能的にはほぼ同価格のfx-915ESと比べるべきで,fx-375ESには無いベクトル・行列計算機能,素因数分解や総積機能を持つ.それにしても,同じ機能がCASIOの新型にも同時に搭載されたのは偶然では無いだろう.CASIO,Canonの2社は,関数電卓のソフトウェア開発で緊密な連携関係にあることは間違いない.それにもかかわらず,今回CASIOの新型が採用した「解の小数表示」を本機が採用しなかったのは誠に残念である.

本機から採用された目新しい機能が左上の[Apps]キーである.これは,関数電卓の多機能化に伴い,足りなくなったスペースの問題を解決するアイデアとして有望であろう.例えば複素数モードで[Apps]キーを押すと



という画面が出る.ここから,複素数の表示形式変換や実部,虚部,共役複素数などの関数が選べると言うわけだ.CASIO fx-375ESの場合,同様の機能は[Shift] [2]とわかりにくいところにある.[Apps]キーの機能は計算モード毎に異なり,一般計算モードだと総和,総積,最大公約数や最小公倍数など,普段あまり使わない関数が集められている.その分,本機はパネル上の表記がすっきりしている.fx-995ESの写真と比べてみて欲しい.